シャニマス詩歌部第六回歌会

 第六回歌会である。
 ずいぶん人も増えたし、月一の歌会がこんなに続くとはまったく思っていなかったので、主宰の方々には心から感謝しています。

 それはそれとして、今回、提出は正直悩んだ。ディスコードには参加できないことはわかっていたし、あまり集中できそうになかったからだ(実際そうなった)。とはいえ、せっかく機会を作ってくれる方がいるのだから、できるだけやっていこうということでやってみました。

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「砂」
 実は一番悩んで、出来たのも最後だった。
 そもそも砂という単語はデレマスのライラさんのイメージが強くて、どうしても金髪で褐色で碧眼で激情を胸に秘めてひとり歩いていく異国の女の子の後ろ姿が浮かんでしまう。(皆デレマスを、ライラさんをよろしくお願いします。)
 そこからちょっと距離を置いて、あらためて考えてみたとき、定番ではあるがきらきらと輝く砂は星だなと思った。アイドルは星なので、星々の中で輝いているけれど埋もれてしまう/しまっているひと。……美琴さんであろう。
 ということでさっそく作ってみた、のだが。

 照らすべきひとよ何処に真砂なす数無き星のひとつの吾の

 砂で星なら「真砂なす星」とするっといったところで、あれ? となった。見たことある? 慌てて検索したところまぁ出てきますよね。一応はまとめたものの、二次創作で本歌取りを歌会に出すのもいろいろフェアではない気がしたのでこれは没に。
 その他「砂」でいろいろ考えては見たが、結局はシンプルに砂漠で。美琴さんなので、進むのも帰るのも困難な旅、ということで下の句ができ、さらに帰還不能点というネタも入れ込んで出来たのが提出作。上の句をカタカナで書くのも、英語にするのもいまいち。また全て英語でやりきる技量はないのでルビを使って処理をしてみた。少々やりすぎな気もしたがこれで完成とした。

追記
 歌会の発表ではすべてに対するルビになっていましたが、本来は「上の句の」ルビが正当です。今回は発表から締切まで時間もなく、一覧の作成上の問題かもしれないとも思い、修正依頼はしませんでしたが、作者の意図としては上の句のみのルビとなります。(まぁ結果は同じだったと思いますが。)
 あとは感想で頂いた五酸化四鉄さんの改稿が素敵だったので、もうそれにしてぇ。俺のものだったことにならないか。ということで、英語力の無さを露呈したところで終了。

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「麦」
 お題の時点でシンプルに月岡さんだよなぁと思った。月岡さんはイベントや幾つかのサポート、wing一回クリアしたくらいなのでよくは知らないが、とにかく強くて明るい女性だというイメージがある。そして、アンティーカの絶対的センター。
 いろいろあるだろうけれど、このひとは何があろうと生き抜いて、与え続けるひとだと思う。なので、いちファンから見た月岡恋鐘というアイドルの姿を歌ってみた。

地に落ちてなお死なぬ麦かがやきは捧げど尽きぬ君は豊穣

地に落ちてなお死なぬ麦黄金は汲めども尽きぬ君は豊穣

 地に落ちる麦はキリスト教(的献身/自己犠牲)の定型なのだが、月岡さんは前述のように、自らも生きるひとだと思うので死なずとし、尽きることのない恵みを与えるというイメージ。豊穣の女神。とはいえあまり他者に与えている自覚はない気もするので、捧げる→汲むに。上の句の麦と「こがね」という名前からかがやき→黄金に変更して完成とした。かなりするりと出来た一首。

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「骨」
 お題でなにか、と考えたときに出てきたのが骨牌だった。被るだろうなー、とは思ったのだが、トランプの時点で四種→四人→ノクチルと繋がってしまったのでそのまま行きました。
 トランプはネタは豊富ながら、今回は最後の勝負まで大事なカードは伏せて見せないよね、ということでストレートに。当然、樋口になる。
 見せなければ/見られなければ、答えは出ないままでいられるというモラトリアムな状態と、秘めた激情や、他者への恣意や威嚇、それにより自らも傷ついていること等々を「短剣を刺せ」。そして後半はいつもの樋口です。こちらも大枠はすぐにまとまりました。
 切り札にルビをふるか、具体的なカードを入れるかで悩みましたが、樋口は切り札でもないし、キングでもないということに思い至り終了。
 単体の出来としては悪くないかなと思ってはいるものの、前回の樋口短歌と印象が変わらないことに引っ掛かりはある。同モチーフだからとはいえ、もう少し、こう……。引出しの無さは課題ですね。

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「染」
 悩みました。なにか熟語でと思いましたがいまいちまとまらず。結局、先日作った【をとめ条約】短歌でやりたかったことをあらためてやってみました。特定のエピソードについての歌ではなく、杜野凛世さんに対しての歌になり、出来はよくなったと思っているけれど、歌会という場に出すのに、こういう作り方はいいのかなという疑問は残ったり。

 全体的にはもう一段階、二段階作り込みが足りなかった印象。反省。

以上です。

歌会参加者の方、お疲れさまでした。
主宰のカシャ奴さん、ありがとうございました。