第六回プロト歌会

ユニット指定「ノクチル」

そんな顔するんだね、知らなかった　あなたと同じ景色にいたい

　ノクチルとしての四人の関係はこういうことではないのかなという歌です。どれだけ一緒にいて、知らないことなんてないと思っていても、知ることがなかった喜びや怒りや哀しみや決意があって。そしてそれでも一緒にいたいと願う。「みんな」から「ひとり」に、「わたしたち」が「わたし」になること。それは成長であり、幼年期の終わりでもあり、それこそはノクチルのテーマではないかと思います。
　歌としては上の句は頑張ったけれど、下の句がうまく言い換えができずこのかたちに。……これが散文的ということですか。

テーマ指定「故郷」

帰るべき場所とするなら故郷はあなたの隣にしますミスター

　これは実は浅倉透のイメージ。照れ隠しに樋口の真似をした浅倉、という絶対に伝わらないダメなタイプの二次創作です。

技法指定「倒置法」

未提出。

「自由詠」

お守りのかわりにリボンをつけたげる　走り続けてただそのままに
　／黛冬優子

　ノクチルの歌と一緒で、上の句にやりたいことを全力で投入した結果、下の句がうまくまとまらないという。反省しましょう。
　内容としては芹沢あさひにリボンをつける黛冬優子というのが伝わったのでまあよし。
　黛さんはある種、芹沢あさひのようなものと対峙するために「ふゆ」を作り上げたはずなので、その芹沢さんに素の冬優子を指針とされるのは嬉しさはありつつ、違うだろ、という怒りのような感情もあると思っています。神様に指を指されているお前が、そんなことでどうすんのよ？
　結局、われわれは芹沢あさひに、そうありたかった、しかしそうはなれなかった幻を見て、勝手に苦しんで、その幻を押し付けてしまいがちですが、それこそそんなものは芹沢さんには一切合切関係がないわけで。われわれはただ、祈ることしかできないし、してはならないよなと思います。芹沢あさひ、健やかであれ。

　……ということを短歌にしましょうね？