第十回歌会

ドーモ、樋口円香に脳を破壊された狂人です。

さて。

シャニマス詩歌部、記念すべき第十回歌会のことですが、先だって【オイサラバエル】という核弾頭のような一撃を受けたうえに、デレ10thで感情が訳のわからないことになったため、今回はおとなしく樋口円香全振りでいくことにしました。

（なお樋口界隈に激震を走らせた【オイサラバエル】の内容はみなさんどうにかして読んでいただきたいのですが、要はこれまで底流としてひそやかに描いてきた「うつくしいもの」の話を全力でブチ込んできたわけです。そもそもの「青春」という「期間限定」な主題に、「未完成の美」まで加えてきたということは、やはり「女の子の時間（とその終わり）」という「アイドル」を描ききるという宣言に他なりません。そしてもうひとつ、われわれを発狂させた凶悪な点についてはマジでご自身でお確かめになって下さい。とぶぞ。）

まぁそんなわけで必然的に、樋口、浅倉、シャニPの三者を歌うことになりました。最近はアイドルを主体として詠むことに心理的な難易度が上がってはいるのですが、今回は樋口円香を主体としていくことを決心し、俺の樋口をみてくれ、という勢いで作歌を開始。

その後【はるとあめ】に【射陽】で完全にオーバーキルをくらい、おれは樋口のことはなにもわからない期に突入するのですが……ひぐち……俺は……。

「色」
青空を黄昏の色が濁らせるわたしはあなたの手を握らない

歌意はほんとにそのままです。
青空は浅倉透であり「うつくしいもの」。黄昏は樋口自身。透明なものこそがうつくしいのであれば、色は美を汚すものでしかありません。それが恋であれ友愛であれ、触れて色づけることを「わたし」が良しとはしない。ちなみに青空とあなたは浅倉でもシャニPでも、複層的に取ってもらえればと思って作ってます。シャニPもまたひとつの青空ですし、シャニPと樋口が手を取れば浅倉透は濁るでしょう。（【射陽】も【オイサラバエル】に触れてからだとかなり色合いが変わります。）
なお言葉的には最初は恋心から入ったので「暁」、「抱き締めない」だったのを今の形に変えてます。戻らない時間の流れも出したかったので。

「影」
あなたの影の長さも知らない耳裏の星のかたちも知っていたのに

難産でした。これも歌意はそのまんまで、すぐ傍にいた相手がいまは遠く離れていってしまったという感じです。
下の句は「本人も知らない身体的情報（を知っている）」ということを描きたかったので、ホクロのつもりでした。場所も背中や脇やうなじで悩みましたが、他人からも見えていたり、エロティックになりすぎるしで耳裏となりました。
歌としては、上の句はもともと別のかたちのときの下の句だったものを、納得がいかずに入れ替えたものです。結果、初句七音でいくことになったので、下の句の音数の調整にめちゃくちゃに手間取りました。（初句七音のときは、以降の音数は定型の方がよくなるという、教本の教えといくつかチャレンジしたときの実感です。）二句目の8音が気にはなるんですが、意味的にいかんともしがたいのと、これはこれでフックになるからよいのかなーと。感想を聞きたいところです。

「喫」
その傘に手を伸ばすのは苦手です　喫茶店にはひとりで入る

これはほぼ一発でできたのですが、逆にいじれなくなってしまいそのまま行きました。単体では弱いとは思いつつ、一首はこういうのもいれておきたいという気持ちもあり。
直近だと福丸さんの【はるとあめ】ですが、ノクチルは印象的な傘のエピソードが多いのと、シンプルに傘は庇護の象徴（今回はつまりシャニP）。そして当然、円環を描いているので浅倉透のことでもあります。（余談ですが【はるとあめ】では浅倉透「だけが」傘をさしていたりします。ノクチル4人のスタンスの違いが明確に描かれているので必読です。）
樋口円香は助けを求められない娘であり、選ぶこともまだできない、という上の句から、だから独りを選んでいるという下の句への流れでした。そして本来孤独であるべき喫茶店に押し掛けてくるのは誰でしょうね、という歌でもあります。

「今」
｜青春は執行猶予　《ノンフィニート／モラトリアム》その花に名前は今もつけないでいる

三多摩さんにルビ芸と言及されて爆笑していたのは秘密です。
下の句は感情の処理の話です。名前をつけて、決めてしまえば、なにもかもが変わってしまい戻ることはない。樋口円香の命題でもあるこのことと、【オイサラバエル】で言及された「ノンフィニート」を合わせ、未完成／未決はノクチルであり、つまりは青春のことだよねということで「モラトリアム」を置きました。
ちなみに一稿はこんな感じでした。

ノンフィニート／モラトリアム　その花に今は名前をつけてあげない

これでは面白味がない上に意味不明なのでいろいろ弄って今の形になっています。上の句はノンフィニート（の元ネタ）がわからなくてもいいように。下の句は執行猶予を受けて、もうほんとうはずっと前からわかっている、そしてこの先もつけるつもりはないのだというふうにしました。

個人的には四首とも気に入っていますが、結果はあまりふるわなかったので…………うん。

一年前よりは進歩しているとは思うものの、はたして上手くなっているのか、よくわからん。