第十一回歌会

五月はいろいろあって短歌を頑張っていたのですが、結果、完全に息切れを起こして最近ぼーっとしています。十首連作であんなに疲れるとは思わなかったわ……。

題字「書」
交換日記を書くのはやめた夏浅き日々に句点を打ちたくなくて
樋口円香

天檻、最高でしたね(挨拶)。
これを作ったときは別件で樋口を「降ろして」いたので、ほぼ一発。なのであまり語ることはなかったりします。意味のないことを続けるのも、区切りがついてしまうのも厭う。そしてもし区切りをつけるなら、自分の手でやる。それが樋口円香。
唯一悩んだのは三句目ですが、エピソードの季節と、今の季節、彼女たちの人生の季節ということで「夏浅き」を取りました。当然「浅」倉透でもあります。

まったくの余談ですが、4thの手紙の樋口があまりにも樋口で歌会中にちょっと発狂してました。あれはヤバい。ほんとうにヤバい。……樋口……おれは……。


題字「結」
おまもりのかわりに結ぶ純白のスタンスミスにピンクのリボン
ストレイライト

これはぜんぜん浮かばなかったので、完全な二次創作に踏み込んでしまったものですね。読む人のことを考えていないやつです。
純白のスニーカーは芹沢あさひ、ピンクのリボンは黛冬優子。汚れたり転んだりしないようにという祈りと、冬優子ちゃんにもらったリボンがあるなら、これまでのように水溜まりに飛び込んだりはしなくなるよね、という変化の象徴です。はい、伝わるわけがないですね。

いちおうスタンスミスは芹沢あさひ、履いています。白ではないですが。


「覚」
ペトリコール香り立ち想い出す鯨の夢から覚める日のこと
浅倉透

浅倉透が眠れる巨大な獣で、いつか遠くへ行ってしまうという概念を公式が打ち出してきているの、完全に解釈一致で最高だよね、という歌です。
水の中にいるのなら雨の香りはしないはずで、本来はここに留まっている生き物ではないということ。想い出す、は本来を思い出すのと、夢の終わりを想い始めるをかけたつもりですが、上手くいっていないですね。
これは最初、別なものを出す予定だったんですが、天檻が素晴らしかったので急遽変更。提出30分前に読み終わり、短歌のメモを漁って15分くらいで作ってます。なので皆さんからのご指摘頂いた、推敲が甘いというのはまったくその通りでございまして……。気が抜けすぎだなと反省してます。

「独」
さめざめと光を返す熱帯魚アクアリウムをひとりで歩く
杜野凛世

題字の「独」で凛世花伝のソロデートを思い出してしまって、そのまま素直に作った歌です。ですので、これもあんまり語ることがなかったりします。
むしろ自分的には技術的に構築していった歌なので、評価していただいたことは嬉しく思います。(手癖と言われれば手癖なので……。)
ベタですが通常とは違う擬音で心情を示して、カタカナで冷たさと軽さを出して、というような感じでした。熱帯魚とアクアリウムの繋がりがくどいかなとも思いましたが、いかがでしょうか。


二次創作はエモと狂気で殴り付けるものだと認識しているのですが、作品として出す場合、特に短歌は文字数が限られるため、対象との間に適切な距離感を取ることが重要であると、最近あらためて感じています。
己の狂気をコントロールする術を身に付けねばならぬ。

頑張ります。